相続税申告のポイント㉔~定期借地権の目的となっている宅地の評価

 定期借地権の目的となっている宅地は、財産評価基本通達25(2)に定める方法により評価するとされており、またそのうち、一般定期借地権の目的となっている宅地で一定のものについては、底地割合による評価方法が個別通達により定められています。(平成10年8月25日付国税庁長官通達「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」)

  定期借地権の目的となっている宅地の評価は、実務的には国税庁様式の「定期借地権等の評価明細書」の内容に沿って計算していけば、それほど難しくはないと思われます。 

同評価明細書で戸惑う部分があるとすれば、「②定期借地権等の設定時の通常取引価額」の欄(下の図)ではないでしょうか。

 定期借地権が設定された年の路線価が確認できるのであれば、その年の路線価により対象地の相続税評価額を計算し(①欄)、その価額を0.8で割り戻した価額を②欄に記入すればいいのですが、国税庁ホームページで路線価が確認できるのは直近の7年間分のみです。定期借地権の設定がそれより前の場合にはどうすればいいのでしょうか。

 

ひとつの方法は、国立国会図書館などで、定期借地権設定年の路線価を調べることです。国立国会図書館のホームページに路線価図等の検索方法が記載されています。)

 もうひとつは、近隣の地価公示価格や都道府県地価調査の基準地の価格を基に、通常の取引価額を合理的に算定する方法が考えられます。(国土交通省のホームページ「地価公示・都道府県地価調査」で、昭和45年分以降の地価公示、平成9年分以降の都道府県地価調査のデータをインターネットで調べることができます。また、近隣の公示等の地点を地図上で検索するには「全国地価マップ」が便利です。)

 例えば、対象地のごく近隣(課税時期における路線価が対象地と同じ価額である範囲内など)に公示等の地点があれば、定期借地権の設定日に一番近い基準日における公示等の価格を、時点修正及び画地修正をして、地積を乗じた価額を採用する方法が考えられます。 

また、ごく近隣にはなくても、地価事情等の状況が対象地とほぼ同じ範囲内に公示等の地点があれば、定期借地権の設定日に一番近い基準日における公示等の価格と課税時期の年の価格を比較することにより求めた地価変動率から逆算するなどして、設定時の通常取引価額を合理的に算定することができれば、その価額も認容されうるものと筆者は考えます。定期借地権設定当時から継続して公示等の地点に選定されていることが必要です。また正確には、設定日と基準日の間等について時点修正が必要と考えます。)

 

(参考1)上記②欄の通常取引価額については、「この価額が設定契約等においても明確でなく、かつ、地価変動が著しくない年のときは、その年における自用地価額(相続税評価額)を0.8で割り戻した価額によって差し支えない。」と解説している書籍があります(大蔵財務協会「財産評価基本通達逐条解説」)。現在確認できる国税庁の評価関係の通達等ではこのような条件は確認できませんでした。ただ、0.8で割り戻す方法を採用する場合には、設定年の地価変動率に注意する必要はあると考えます。その意味では、設定年の前後の年の路線価を確認しておくことが有用と思われます。

(参考2)事業用定期借地権の設定契約は、公正証書によらなければならないこととされています(借地借家法23条3項)。評価の際には、必ず設定契約公正証書により契約内容等を確認するようにしてください。 

(参考3)定期借地権の設定に際し、返還を要する保証金や敷金等を預かっている場合のその預り保証金等は、相続税の申告において債務に計上することになります。その保証金等が無利息の場合には、債務として計上する預り保証金等の金額は、その保証金等の全額ではなく、残存期間年数に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じた金額に圧縮されたものになりますので注意してください。 

次回に続く

 この記事のカットは国税庁のホームページから引用しました。(ホームページの画面を加工、トリミングしています。)